藤田社会保険労務士事務所
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平成20年3月号 インデックス

貴社には「ねんきん特別便」が届いた従業員はいませんか?
雇用か個人業務請負か
 〜労働者性の判断について
編集後記

貴社には「ねんきん特別便」が届いた従業員はいませんか?


「ねんきん特別便」(以下、「特別便」といいます。)が届いた従業員が、貴社にはいらっしゃいませんか?
現在、社会保険庁から特別便が順次郵送されています。
実は、自社の従業員に特別便が届くべきところ、事務手続きを怠っているために、届いていない、
というケース
も散見され、企業にとっても無関心、無関係ではいられないテーマなのです。

そこで、今回は、全国民に関係する「ねんきん特別便」について概要をご案内します。

【ポイント1】

「ねんきん特別便」には2種類ある。

@名寄せ対象者に送られる「ねんきん特別便」
A@以外の人(名寄せ対象外)に送られる「ねんきん特別便」


ねんきん特別便(名寄せ対象者) ねんきん特別便(名寄せ対象外)
H19.12〜H20.3の期間送付 H20.4〜H20.5の期間送付
名寄せ対象者以外の年金受給者あて
H20.6〜H20.10の期間送付
名寄せ対象者以外の被保険者あて

「年金記録のおしらせ」を送付
送付対象者の基礎年金番号に登録している 加入記録を掲載している


同左
※年金受給者だけでなく、被保険者であっても、
記録にもれがある可能 性が高い人にだけ届く。

※この特別便が送付されたということは、現在の加入記録の他に、本人のものと思われる記録が見つかったということ。
つまり、記録を訂正すれば年金額(年金受給者でない場合は将来の受取見込額)が増額となる可能性が高いということ。
すべての被保険者及び年金受給者に届く


まず、「ねんきん特別便」には2種類ある、ということを理解しないといけません。
「消えた年金」として問題になった「誰のものかわからない」年金記録が、誰のものなのか、を特定する作業を進める中で、ある方の加入記録の可能性が高い、と判断された年金加入記録があった場合に、その方に対してお知らせをするのが第一段階です。
現在は、まさにその時期にあたります。


第一段階の特別便はどのような人に届くかというと、

@ 転職を頻繁に繰り返したために正しい記録がなされていない方
A 姓名の読み方が何通りか考えられる方
・例えば、裕子(ゆうこ・ひろこ)など
B 通常の読み方と異なる特殊な読み方をする姓名の方
・例えば、高志(たかし→こうし)など

以上のような場合は、生年月日が同一でも姓名が異なることから別人物の年金加入記録として登録されてしまい、「消えた年金」として誰のものかわからない、という状態になっているのです。

今回、特別便が送付されたということは、浮いた記録がその人のものである可能性が高いから送付されてきている、ということです。
しかし、「同一人物」であると、勝手に断定できないため、同時に送付した「年金加入記録照会票」の内容に訂正がある旨を本人が申し出て初めて年金加入記録を訂正することになっています。


この訂正の申し出は、同封されている確認ハガキの「訂正がある」欄に○を付け、年金加入記録照会票を自分で訂正した上、返送用封筒にて送り返すことにより行います。
現在、加入記録に誤りがある可能性が高い方にお送りしているにもかかわらず、「訂正なし」として返送してくる方が多いそうです。
これは、送られてきた趣旨(年金記録に誤りがある可能性が高い方に送っているのだということ)が理解されていないために生じていると考えられます。

特別便を送付する時点では、同一人物である、と断定できないために、もれている加入記録(○年○月から●年●月まで、Aという事業所に在籍していた、というような記録)を明示していないことから、本人が詳しく職歴を確認していない可能性が高いのです。
ですから、現在、特別便が届いている従業員がいた場合には、アルバイト・パート等の勤務形態にかかわらず、過去の職歴をすべて確認してみることをアドバイスすべきです。


ただ、本来送付されるべき人であるにもかかわらず特別便が届かないことがあります。
こういったことが、なぜ生じるかというと、社会保険庁に登録されている住所の変更をしていないために郵便物が配達できないのです。
実際、ねんきん特別便の専用ダイヤルで確認してみると、結構な数の郵便が返送されてきているそうです。
企業としては、従業員の住所がきちんと登録されているかどうか、確認する必要があるでしょう。

次の段階の特別便は、「すべての被保険者及び年金受給者」を対象に送付される特別便です。平成20年4月以降に送付する予定となっているようですが、若干時期が遅れるかもしれません。
ただ、「消えた年金」の対象者を特定する作業を優先させ、その後、全国民に対して加入記録をお知らせしてくれるのはありがたいことだと思います。

しかし、こちらも社会保険庁に登録されている住所が正確でないと、本人に送付されません。本年6月までに正確な住所が登録されているか確認すべきでしょう。

このための方法としては、「厚生年金保険被保険者・国民年金第3号被保険者住所一覧表提供申出書」を社会保険事務所に提出することで、被保険者本人と被扶養配偶者の登録住所を提供してくれます。
これにより、登録済みの住所をチェックし、相違していれば正しい住所にしておくことが必要です。


  【ポイント2】

従業員の住所が社会保険庁に正確に登録されているかチェックし、相違していた場合には、正確な住所に変更しておく

「厚生年金保険被保険者・国民年金第3号被保険者住所一覧表提供申出書」


以下に、2つの特別便ごとに企業の対応についてまとめてみます。

ねんきん特別便(名寄せ対象者) ねんきん特別便(名寄せ対象外)
この特別便が届いているということは、
その従業員の年金加入記録にもれがある可能性が高いということ。

これらの従業員には、加入記録に過去の職歴が全て記載されているかを確認するようにアドバイスする。
H20.6〜H20.10の期間送付されるが、社会保険庁に登録されている住所が正しくないと本人には届かない。

事業所としては、実際の住所が正しく登録されているか確認し、正しい住所が登録されるように手続きをおこなう。
特別便が届いている従業員がいない場合でも、本人の住所が正しく社会保険庁に届けられていないと郵便物は届かない。
従って、本来届くべき従業員でも、住所が正しくないために届いていないだけかもしれない。

このため、住所が正しく登録されているかの確認を行っておく。
 


     【社会保険庁発行のちらし】
社会保険庁のちらし



     【提出用書類】
提出用書類


当書類は以下のURLから入手できます。
http://www.sia.go.jp/topics/2006/n1215.pdf


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雇用か個人業務請負か
 〜労働者性の判断について


個人業務請負という働き方がある。
これは、個人のもつ専門性を武器にして、一事業者として独立して事業を営む形態であり、一企業だけでなく、複数の企業と「業務委託契約」を締結して、業務を受注し、それを遂行した対価として報酬を得る。

週間ダイヤモンド誌2008年3月8日号によれば、個人請負という働き方のことを米国では、
「independent contractor」(インディペンデント・コントラクター=独立業務請負人)と呼ぶそうで、全米で約900万人もの独立業務請負人がいるとのことだ。
そして、「日本でも経験豊富な団塊世代で、この働き方を選ぶ人が増えるのではないか」という関係者のインタビュー記事を掲載している。


雇用契約となると、使用者と労働者の関係になり、労働基準法を始めとした労働法が適用され、労働者は手厚く法の保護をうけることができる。
これに対し、請負となれば立場の強弱はあるものの、対等な関係での商取引となることから、請負業者との関係をなくしたいと思えば、業務の発注を打ち切りばいい。
その意味では、実態は労働者なのに、請負という形態であれば、実質的な解雇も簡単にできてしまうことになる。
また、実態は「雇用契約」なのに社会保険料等の節約のために、「業務委託契約=請負」であるとすることも多いようだ。

そこで、今回は「労働者とは何か」についてをお届けしたい。

  【労働基準法第9条】

この法律で、労働者とは、職業の種類を問わず、事業又は事務所(以下「事業」という。)に使用される者で、賃金を支払われる者をいう。

労基法上、
@事業に使用され、 A賃金を支払われる者であれば、B職業の種類に関係なく労働者とされている。

ここでのポイントは、@〜Bの要件を満たせば労働者となるということであり、契約の形式(委任・請負等)にはよらないことである。
つまり、実態がどうか、これにつきるのであって、請負契約書を交わしている等の形式が整っていても全て実態で判断されるということである。

すると、実態で判断するという場合の、「実態」とは何かが問題になる。
一言で言うと、「使用従属関係にある者であるか否か」である。
出勤、退社などの時間的拘束を受け、場所、業務について使用者の指揮命令のもとで労働し、その対価としての賃金をもらっていれば労働者になるということである。

ただし、労働者となるかどうか(=実質的な使用従属関係があるかどうか)の具体的な判断は、個別の事実関係によって異なることもあり、複雑な面があるのも事実である。
ただ、裁判例により、一定の判断基準は存在していることから、これによって判断をすることになる。


以下に、実質的な使用従属関係があるか否かを判断する際のポイントを挙げる。

○仕事の依頼、業務従事に対する諾否の自由の有無
  • 雇用契約であれば、使用者からの業務命令を拒否することは基本的にできない。しかし、請負であれば、自身の業務の繁忙度合いや対価の多寡によって断ることも可能である。
    従って、諾否の自由がなければ労働者であるとされる可能性が高くなる。
○時間的場所的拘束性の有無
  • 始業及び終業時刻の定めがある、勤務場所の指定等があると、労働者であるとされる可能性が高くなる。
○業務内容が使用者において定められ、業務遂行過程における使用者の一般的な指揮監督関係の有無、服務規律の適用
○労務提供の代替性の有無
  • 本人が労務提供をしなければならない場合(代替性がない)は労働者である とされる可能性が高くなる。
○業務用器具の負担関係
  • 請負側が自身で器具等を用意していると、請負であるとされる可能性が高くなる。
○報酬が労働自体の対償的性格を有するか否か
  • 生活保障的な要素、労働の質に対する較差、欠勤控除、超過手当等の有無、付随的に給与所得税等の源泉徴収の有無、退職金制度の存否


  【参考】

2007年9月27日、厚生労働省からバイク便のライダーを労働者であるとする通達が出されています

バイク便のライダーは、個人業務請負契約の形式で働くのが通常であり、形式上は個人事業主です。
しかし、@指揮監督下にある、A拘束性がある、B代替性がない、C報酬に労務対償性がある、という実質的な使用従属関係にあることから労働者であると判断し、労働者であるとする通達が出されたものです。






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編集後記


あるセミナーを受講していて、易経(えききょう)の中の「乾為天」(けんいてん)の話をお聞きしました。
「易」というと「占い」のイメージが強いですが、現代のような科学優先の時代であっても、経営者の方で「易」を活用されている方が多いと聞きます。
事実、私の知人の経営コンサルタントの方で、定年を機に第一線を退いた方がいらっしゃいますが、この方は、引退後、「易」の勉強を始め、ビジネス専門に占うサービスをしていらっしゃいます。
結構、関心をもって「占ってください。」という方が多いようです。

さて、以下は冒頭のセミナーでお聞きした内容です。
ご本人の許可をいただいておりますので、原文のまま掲載いたします。

 
古来から、リーダーの哲学書として読み継がれてきた「易経」の中には、人生の節々で訪れる様々な出来事への対応法が六十四卦書かれています。
その第一番目にあるのが「乾為天」という卦です。「乾為天」の中には「龍」が成長していく、六つの段階のことが書かれています。それは、まさにみなさんが企業の中で志を達成していく過程そのままに当てはめることができます。

最初は「潜龍(せんりゅう)です。」
「潜龍。勿用」(潜龍なり、用うるなかれ)

将来、天を駆け巡る飛龍(ひりゅう)になる素質はあっても、生まれたばかりの龍は地に潜んでいます。「用うるなかれ」とは、実力も経験もない潜龍の段階の者を重い役職に就けてはならないし、いま自分を潜龍と思うなら、早成を急いではならないといっているのです。
しかしこの時期、ただ寝て待っていろというわけではありません。ここでは将来に向けて確乎不抜(かっこふばつ)の志を立てるのです。
世間に認められるにはまだまだ時間がかかり、相手にされない不遇の時期です。つらい思い、悔しい思いをしますが、だからこそ強くなれるのです。
誰に認められなくても志に従い、徳を積んでいると、その光は自然と地から漏れ出てきます。すると、その光を見出し、引き上げてくれる人が出てきます。

こうして、「潜龍」は「見龍(けんりゅう)」へ成長します。
「見龍在田。利見大人」(けんりゅうでんにあり。たいじんをみるによろし)

見龍の見には、地上に出て姿が見える、自分の視野が開ける、自分を見出してくれる人に出会うといろいろな意味があります。
見龍の時期にすべきことは、大人に学ぶことで基本や型を体得するのです。この時期にしっかりと基本を身につけておかないと努力が実を結ばなくなるのです。

次は「君子終日乾乾す(くんし、しゅうじつけんけんす)」の段階です。

見龍時代に身につけた基本や型を実践で生かし、応用力をつけていく時期です。積極果敢に努力して、繰り返し、繰り返し継続していくのです。極まったときに、量から質の転換が起こり、初めて独自の能力が発揮できるようになるのです。
また同時に言葉を修養する時期でもあります。この時期が一番長い時期と言われています。

そして、日々努力を重ね、自己反省を怠らず、潜龍の志を強くしたものが「踊龍(やくりゅう)」となるのです。
大空へ飛び立つシミュレーションをする時期です。

このとき、しっかりと「兆し」をとらえ、タイミングをはかります。うまく、雲にのり(周りの人が持ち上げてくれるような人になる)、天に昇ると「飛龍」になるのです。
その後、日々努力して反省と改善を続ければ良いのですが、人の意見も聞かずに、ひとりで高く舞い上がってしまうと、「亢龍(こうりゅう)」になって地に落ちると言われています。

いろいろな読み方があると思います。一度、「易経」を読まれることをお薦めします。


早速、「リーダーの易経」(竹村亜希子著:PHP出版)を購入しました。

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