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平成20年1月号 インデックス

パートタイマーへの労働条件の明示項目追加
 〜改正パートタイム労働法平成20年4月1日施行
退職金制度の見直し、進んでいますか?
 〜平成24年3月31日で適格退職年金の適格性廃止
編集後記

パートタイマーへの労働条件の明示項目追加
〜改正パートタイム労働法平成20年4月1日施行


 本年4月1日より、改正パートタイム労働法が施行されます。
パートタイマーから通常の労働者(いわゆる正社員のこと)への転換を推進するための措置を講ずることが
義務付けられるなど、改正パートタイム労働法で改正された項目は多岐にわたっています。

その中のひとつに、労働条件の文書による明示があります。
この項目は、比較的対応が簡単ですので、パートタイマーとのトラブルを防止する観点からいっても、
4月を待たずに即実行することをお勧めします。
以下ご案内いたします。


【改正のポイント】

  労働者を雇入れる際に、労働基準法により明示することが義務付けられている労働条件に加え、以下の3つについても文書等で明示しなければならなくなった。
違反した場合には、10万円以下の過料に処せられることがある。
  1. 昇給の有無
  2. 退職手当(いわゆる「退職金」のこと)の有無
  3. 賞与の有無


 もともと、労働者(パートタイマーを含む)を雇入れる際には、労働基準法の定めにより労働条件を明示しなければ ならないとされていたものの、書面の交付による明示が義務付けられている事項と、口頭での明示でもよい事項が ありました。
上記の3項目は、労働基準法上は口頭による明示でもよい事項であるにもかかわらず、 パートタイム労働法では文書等での明示を義務付けられたことになります。

わざわざ文書等による明示を義務づけたということは、これらに関するトラブルが多いということの裏返しでもあります。



【労働基準法で義務付けられている明示事項】
T.書面の交付による明示事項
  1. 労働契約の期間に関する事項
  2. 就業場所、従事すべき業務の内容に関する事項
  3. 始業・終業時刻、所定労働時間を超える労働(いわゆる残業)の有無、
    休憩時間、休日、休暇、労働者を2組以上に分けて交替制で勤務させる場合は就業時転換に関する事項
  4. 賃金の決定、計算・支払の方法、賃金の締切・支払の時期に関する事項
  5. 退職に関する事項(解雇の事由を含む)
U.口頭の明示でもよい事項
  1. 昇給に関する事項
  2. 退職手当の定めが適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算・支払の方法、支払の時期に関する事項
  3. 臨時に支払われる賃金(退職手当を除く)、賞与などに関する事項
  4. 労働者に負担させる食費・作業用品その他に関する事項
  5. 安全・衛生に関する事項
  6. 職業訓練に関する事項
  7. 災害補償、業務外の傷病扶助に関する事項
  8. 表彰、制裁に関する事項
  9. 休職に関する事項

 パートタイマーは、個々の事情に応じて労働条件(労働時間等)を決定することが多いため、
労働条件が統一的に運用される正社員と比べ、もともとトラブルが発生しやすい状況にあるといえます。
そこで、口頭という「言った。言わない。」のあいまいさを避け、トラブルを未然に防止するために今回の改正となったものです。

企業としても、現在使用しているの労働条件通知書に上記の3項目を追加するだけで対応できる(*)ことから、 4月1日の施行日を待たず、即実施する方がベターでしょう。
なお、労働基準法による書面による明示義務に違反する場合には、30万円以下の罰金に処せられることになっています。


(*) 労働基準法で定める項目だけが記載された労働条件通知書を使用し、
今回の3項目について別途文書の交付、電子メール、FAXで明示することも可能です。



  なお、今回の3項目の明示事項の追加はパートタイマーに関しての義務付けであり、
いわゆる正社員に対しては適用されません。
しかし、トラブルの多い事項であることは正社員でも同じです。
そうであるなら、正社員に対する労働条件の明示でも、これら3項目を追加することを検討する必要があるのではないでしょうか。


下記ページは厚生労働省作成の労働条件通知書のサンプルです。
以下のURLに掲載されています。
http://www.mhlw.go.jp/topics/2007/06/dl/tp0605-1h_0042.pdf


労働条件通知書

                                              年  月  日
               殿
              事業場名称・所在地
              使用者職氏名
  期間の定めなし、期間の定めあり(  年  月  日〜  年  月  日)※1
就業の場所  
従事すべき業務の内容  
始業,終業の時刻,休憩時間等 始業   時   分〜終業   時   分まで(休憩時間   分) ※2
所定外労働 1 所定時間外労働をさせることが
[有(1週   時間、1ヶ月   時間、1年   時間)/無]
2 休日労働をさせることが[有(1ヶ月   日、1年   日)/無]
休日  
休暇 1 年次有給休暇 6か月継続勤務した場合→   日
 継続勤務6か月以内の年次有給休暇[有/無]→   か月経過で   日
2 育児休業 取得可能、一定の要件を満たさなければ取得不可能
3 介護休業 取得可能、一定の要件を満たさなければ取得不可能
4 子の看護休暇 年   日
5 その他の休暇 有給(     ) 無給(     )
賃金 1 基本賃金
  イ 月給(     円)、ロ 日給(    円)、ハ 時間給(    円)、
  ニ その他(                    )(    円)
2 諸手当の額又は計算方法
 イ(     手当     円/計算方法:           )
 ロ(     手当     円/計算方法:           )
3 所定時間外、休日又は深夜労働に対して支払われる割増賃金率
 イ 所定時間外、法定超(   )%、所定超(   )%
 ロ 休日 法定休日(   )%、法定外休日(   )%
 ハ 深夜(   )%
4 賃金締切日(   )日   5 賃金支払日(   )日
6 賃金支払方法(                       )
7 昇給[ 有 (時期、金額等                    )/無]
8 賞与[ 有 (時期、金額等                    )/無]
9 退職金[ 有 (時期、金額等                   )/無]
10 労使協定に基づく賃金支払い時の控除[ 有 (時期、金額等     )/無]
退職に関する事項 1 定年制[ 有 (   歳) / 無 ]
2 自己都合退職の手続(退職する   日以上前に届けること)
3 解雇の事由及び手続(                       )
その他 ・社会保険等の加入状況(厚生年金保険 健康保険 その他(      ))
・雇用保険の適用[ 有 / 無 ]
・その他(                             )
・具体的に適用される就業規則名(                  )

 本通知書の交付は、労働基準法第15条労働条件の明示及び 短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律 第6条に基づく労働条件の明示を兼ねるものであること。


更新の有無
※1 期間の定めありとした場合に記入
1 契約の更新の有無[自動的に更新する・更新する場合があり得る・契約の更新はしない]
2 契約の更新は、次のいずれかにより判断する
  ・契約期間満了時の業務量 ・労働者の勤務成績、態度   ・労働者の能力
  ・会社の経営状況     ・従事している業務の進捗状況
※2
@〜Cのような制度が適用される場合に記入。
(@〜Cのうち該当するもの1つに○を付け、具体的な条件を記載すること)
@変形労働時間制等:( )単位の変形労働時間制・交替制として、
次の勤務時の組み合わせによる。
 始業(  時   分) 終業(  時   分) (適用日    )
 始業(  時   分) 終業(  時   分) (適用日    )
 始業(  時   分) 終業(  時   分) (適用日    )
Aフレックスタイム制:始業及び終業の時刻は労働者の決定に委ねる。
(ただし、フレキシブルタイム
(始業)   時   分から   時   分、(終業)   時   分から   時   分、
コアタイム   時   分から   時    分)
B事業場外みなし労働時間制:始業(  時   分) 終業(  時   分) 
C裁量労働制:始業(  時   分) 終業(  時   分)を基本とし、
労働者の決定に委ねる。

「賃金」欄の7.8.9が今回のパートタイム労働法の改正に対応した部分です。


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退職金制度の見直し、進んでいますか?
〜平成24年3月31日で適格退職年金の適格性廃止


 平成24年3月31日で、適格退職年金の適格性が廃止されます。
平成14年に適格退職年金の廃止が決定していたものの、まだまだ時間があるから、という理由で自社の退職金制度をどうすべきかの検討を行ってこなかった企業も散見されます。
(実際には、かなりの企業が対応策を決定していない状況にあるようですが・・・)
しかし、そろそろ自社の対応策を決定しなければなりません。
退職金積立の制度の運営者である生保会社等の事務処理に要する時間等を考慮すれば、 そろそろ行動に移していかなければ間に合わない状況になってきたといえるでしょう。
 そこで、今回は、簡単に退職金制度の問題点を整理してみます。


 【そもそも退職金は支給しなければならないものなのか?】
 退職金は本来的に企業からの恩恵的な給付であり、法的に支給しなければならないということはありません。
しかし、就業規則、退職金規程で、退職金制度を規定化した場合には、労働基準法第11条の賃金に該当する
とされていますので、そこで定める要件を満たす者は退職金を受け取る権利があることになります。
また退職金規程がなくとも、退職金を支給する労使慣行が存在する場合には労働者の退職金請求が認められることがあります。


  【キャッシュフローの面からみると・・・】
 退職金制度を規定化した場合は、退職金=賃金=人件費です。
せっかく退職金を支払うのだから、それをもらった従業員のモチベーションがアップして、退職金を払ってくれた会社のために一生懸命に働いてくれる。 そうなれば支給した甲斐もあろうというものです。
しかし、残念ながら退職金を支給した後、その従業員は在籍していません。
再雇用の場合はともかく、せっかく支給しても、退職してしまった元従業員が現役時代よりも会社に貢献してくれるということはあまりないのです。
では、退職金制度を設ける理由は何なのでしょうか?


 【何のために退職金を支払っているのか?】
 退職金の法的性格には、「功労報償説」「賃金後払説」「老後生活保障説」等があります。
いずれの説に立っても、退職金を支払ったことに対する直接の見返りは期待薄でした。
しかし、現実には退職金を支給しています。
ということは、何らかの目的があって退職金を支給していることになりますが、
貴社は自社の退職金支給の目的を明確にしていますか?
ざっと、考えてみても
  1. 過去の功労に報いるため(功労報償説)
  2. 退職者の本来の賃金のうち、一部しか過去に支給していないため、その残額を支給
      するため(賃金後払説)
  3. 老後の生活を保障するため(老後生活保障説)
  4. 他社との競合上退職金制度を設ける必要があるため 
等々が考えられます。


 【日本的雇用システムとの関係】
 終身雇用・年功制・企業別労働組合の3つが日本的雇用システムといわれました。
経済が右肩上がりであった時代には、採用した従業員にできるだけ長期に勤務してもらい、 自社にとっての有益な技能を身につけてもらうことが優先課題でした。
このため、できるだけ長く勤続してもらうために以下のような雇用システムが採用されたのです。
  1. 年功賃金、すなわち、長く勤務するほど賃金が上昇していく賃金システムを採用し、長期の勤続を促した。
  2. 退職金制度においても、長期勤続者が優遇されるようなシステムとし、
    短期で退職した場合には極めて不利な算式を採用した。
つまり、退職金については
「退職時の基本給 × 勤続年数に応じた倍率」とした企業が多く、基本給自体も年功制により長期勤続者に有利、かつ、倍率も長期勤続者に有利というシステムになっており長期勤続を促す制度になっていたのです。

さて、貴社が退職金制度を設けたときの目的はいかがだったでしょうか?

実際には、大企業の制度の模倣、退職金プランを販売する生保会社等のサンプルの活用等により、
十分な検討がないまま現在の退職金制度を導入してしまっている企業も多いのではないでしょうか?


 【適格退職年金の見直しの前に】
 現在、適格退職年金の移行先をどうするか、という点に関心が移っている企業が多くみられますが、
その前にすべきは退職金制度そのものをどう位置づけるか、ということです。
そのためには、右肩上がりの時代が終わった今、どういう目的で退職金を支給するのか、を改めて明確にすることです。
その上で、その目的にあった方法を検討すべきです。

その結果、退職金制度そのものを廃止した企業もあります。
松下電器(パナソニックと社名変更するそうですが・・・)の退職金前払い制度は、あまりにも有名です。


 【目的に応じた退職金制度の設計】
 目的が明確になったら、その目的にふさわしい退職金制度を設計することになります。
右肩上がりの時代における、従来の日本型雇用システムでは、多くの企業で採用している退職金制度は長期勤続を促す仕組みとしての退職金制度となっていました。
(もちろん、退職金制度単独ではなく、賃金制度その他の人事制度と連動してのことですが・・)

  人口減少時代を迎え、技能者の確保等のためには、やはり、長期勤続を促す仕組みとしたいという企業なら そういう目的にふさわしい制度とすべきです。
もちろん、経済が右肩上がりではないため、従来の制度を若干修正する必要はありますが、長期勤続が有利に働き、早期の離職を抑制するような制度とすべきでしょう。
また、従業員の貢献度によって異なる処遇をしたい、という企業なら、他の人事制度と整合をとりつつポイント制退職金を採用することも検討すべきです。
いずれにしても、自社がどういうスタンスでいくのか、を明確にしなければならないのです。


 【退職金積立方法の選択】
 退職金の制度がきまったら、次は退職金支払の原資を確保するための検討に入ります。
実は、適格退職年金への加入も、この退職金支払の原資を確保するための選択の一つにすぎません。
原資を確保する方法としては、銀行への積み立ても一方法ですが、銀行への積み立ての場合、
企業の資金繰りが悪化した場合には、積立を取り崩して流用するということもありえます。
つまり、退職金の保全措置が十分ではない、ということになり、最悪の場合、労働者に退職金が全く支払われない、ということもありえるのです。

 企業内部よりも、企業の外部で積み立てる方が、退職金の確実な支払を担保することになることから、
外部積立を促すしくみとして適確退職年金の制度が設けられていました。
すなわち、適格年金とは正式には税制適格年金といい、一定の要件を満たした場合には支払った掛金を全額損金算入することが税法上認められており、これにより節税効果が得られたことから多くの企業が採用していたのです。
 しかし、低金利下で予定利率を下回る運用実績しか挙げられなくなり、多額の積み立て不足が発生しました。
平成14年の確定給付企業年金法の施行に伴い法人税法が改正されたことにより、適格年金の新規契約は原則できなくなり、既存契約についても平成24年4月以降は適格性がなくなる、つまり掛金の損金計上が認められなくなるのです。

 現在、退職金を全額適格年金で積み立てている企業、一部は企業内部で積み立てている企業等、
各社で異なっていることと思います。
退職金制度を設ける目的が明確になり、それに応じた退職金制度を設計した後は、これに応じて
@全額単独の外部積立を利用する、
A外部積立とするが積立先は複数とする、
B一部を内部積立とする、
等を決定します。
その後、外部積立とする場合には、どの積立を利用するか(中退共か、確定拠出年金かのように商品の選択)、 どの積立先を利用するか(A生保か、B生保か等の選択)を検討していきます。
このときに、現在加入している適格年金を有利に活用できる方法を検討すべきです。


 【適格年金の移行先】
 さて、現在適格年金の的確性は平成24年3月31日までです。
それ以降は、支払った掛金の損金算入はみとめられませんので、通常は、適格年金を解約するか、何らかの制度に移行することになります。
税制適格退職年金の移行先としては、厚生年金基金、確定給付企業年金(基金型)、確定給付企業年金(規約型)、 確定拠出年金(企業型)、中小企業退職金共済の5つが認められています。
各移行先の特徴及び留意点は以下のとおり。


  主な特徴・留意点
適格年金の解約 解約金は従業員個人に支給される。
個人が受け取った解約金は一時所得となる。
中退共への移行 中小企業しか加入できない。
既に中退共に加入している企業は移行できない。
掛金月額と納付期間に応じて給付額が決まる。
企業の事情に応じたカスタマイズがしづらい。
確定拠出年金 運用の責任が従業員にあるため企業は追加的な負担をする必要がない。
従業員に対する投資教育が必要。
移行に際しては、適格退職年金の積立不足を穴埋めすることが必要。
60歳になるまで積立金の引き出しができない。
確定給付企業年金 将来の給付額が予め確定しているので、運用がうまくいかず積立不足が生じている場合には、企業は穴埋めをする義務がある。
従業員にとっては将来の受取額が明確で計画が立てやすい。


 経済産業省作成のパンフレット「適格退職年金から他の制度への移行についてのご案内」に詳細は記載されています。
各制度の具体的な特徴は以下のURLを参照願います。
http://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/sonota/tekikakunenkin.pdf


 ここからは、実際の適格年金の積立額等の具体的なデータを用いて移行試算を行っていきます。
もちろん、従業員への説明は十分行い、同意を得る努力をすることと、 退職金規程の改正手続きは必ず行わなければなりません。

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編集後記



ちょっと得する!経営情報も2年目を迎えました。
昨年は、いろいろなテーマで浅く広く対応してきましたが、本年は、ある程度テーマをしぼり、 内容的に具体性をもたせたものにしていきたいと考えています。
まだまだ、試行錯誤の段階ですが本年もよろしくお願いします。

なお、本年も労働・社会保険関係だけでもいろいろな法律の施行が予定されています。
4月には、今月もお伝えしたパートタイム労働法に加え、労働契約法や高齢者医療確保法(老人保健法の後継法) といった新法が施行されます。
また、3号被保険者の年金分割のように既に成立していて施行されていなかった法律も施行されます。
これらの動向をタイムリーにお伝えできればと思います。


本年もよろしくお願いします。



本年もよろしくお願いします。
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