藤田社会保険労務士事務所
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平成19年12月号 インデックス

外国人労働者を雇用する際の注意点
 〜不法就労にならないために
労働契約法成立(平成19年11月28日)
  「就業規則の不利益変更」
労働力人口の将来推計値が公表される
  〜厚生労働省雇用政策研究会報告書(案)より
編集後記

外国人労働者を雇用する際の注意点
〜不法就労にならないために


平成19年11月20日より、新しい入国審査手続きが実施され、外国人が日本に入国申請する際には、 指紋及び顔写真の提供を義務付けられることになりました。

特別永住者や16歳未満の者という免除者に当たらない限り、日本に入国するほぼ全ての外国人が対象であり、 指紋または顔写真の提供を拒んだ場合には、日本への入国は許可されず、日本からの退去を命じられることになります。
なぜ、こういった入国審査手続きに変更されたかというと、別人の旅券を使用している人やテロリスト等の要注意人物を発見し、テロの未然防止に役立てるため、とのことです。

詳しくは下記URLをご参照ください。
http://www.moj.go.jp/NYUKAN/nyukan64-1.pdf

ところで、人口減少社会となったことから、今後は外国人労働者を雇用する機会が増大するものと思われます。
しかし、外国人を雇用する場合には日本人を雇用するのと違って、さまざまな制約があります。
そのため、知らず知らずのうちに不法就労の外国人を雇用してしまい、不法就労助長罪として処罰される、ということも 起こってくると思われます。

働くことが認められていない外国人を雇ったり、その雇用をあっせんした場合

3年以下の懲役・300万円以下の罰金


そこで、そうならないために外国人を雇用する際のポイントをご紹介いたします。

外国人登録証明書 左図は入国管理局HPより転載

http://www.moj.go.jp/
NYUKAN/ nyukan02-01.html


I「在留の資格」
 在留資格とは、外国人が日本国内で適法に行なえる活動の種類、範囲を定めたもので、現在27種類ある。

(就労が認められているが、就労活動が具体的に特定される在留資格)
 教授、芸術、宗教、報道、投資・経営、研究、教育、技術、人文科学・国際業務、企業内転勤、興行、技能 など

(活動に制約がなく、就労活動についても特定されずに認められている在留資格)
 特別永住者、永住者、日本人の配偶者等、定住者 など

(就労が認められていない在留資格)
 文化活動、短期滞在、留学、就学、研修、家族滞在
 →ただし、資格外活動の許可により就労が認められる場合がある。
日本国内の大学・短期大学高等専門学校等に通う学生は、「留学」の在留資格であるため、たとえアルバイトといえども就労させることはできない。

就労させるためには、必ず資格外活動の許可が必要。

なお、就労可能時間数が資格外活動許可証には記載されているので、この時間以内でしか労働させることはできない。
 → 1週間に28時間以内


J「在留期限」
日本国内に在留することができる許可期限。この期限を超えて引き続き在留している場合は「不法残留」


【チェックポイント】

@ パスポート・外国人登録証明書で在留資格を確認する。
A 外国人登録証明書の在留資格によって、就労が可能か(雇用できる)、不可能か(雇用できない)を判断する。【2ページの下図I】
B 本来就労できない在留資格(例えば「留学」)でも、資格外活動の許可を得ている場合は、許可された範囲で就労することができるので、資格外活動許可証を所持しているか確認する必要がある。
C 在留期限を確認する。【2ページの下図J】 在留期限が経過している外国人は不法残留となるので雇用することはできない。
ただし、在留期限を延長する手続きをしている場合は、外国人登録証に裏書されることから裏面も確認する必要がある。


なお、外国人の申請により「就労資格証明書」が法務大臣より交付されることになっていますので、就労を希望する外国人の方に同証明書の提出を求めることもできます。

ちなみに、資格外活動の許可をとっている場合でも、本人の申請があれば就労資格証明書は交付されることになっています(入国管理局に確認済みです)が、資格外活動許可証の提出があれば就労可能という証明になりますので 、この場合には就労資格証明書の提出を求める意味はほとんどないことになります。


法務省入国管理局が発行しているパンフレット「外国人登録証明書の見方」にわかりやすく掲載されています。
 http://www.moj.go.jp/NYUKAN/nyukan48-1.pdf
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労働契約法成立(平成19年11月28日)
「就業規則の不利益変更」


平成19年11月28日、参議院本会議で労働契約法案が可決成立いたしました。

当初盛り込むことを検討されていた内容からすると、かなり後退した印象がありますが、
これまで判例に委ねられていた労働契約の基本ルールが法律となったという点に意義があるとされています。

全部で19条からなる法律であり、これまでの判例法理・解釈を集約したものであり、実務に与える影響はさほど大きくないことから、労働基準法の就業規則の効力に関する変更部分以外は早期に施行される予定です。
 (公布から3ヶ月以内に施行されることになっている。)
 
 【主な内容】
  1. 労働契約の成立
  2. 労働契約の内容と就業規則との関係
  3. 労働契約の内容の変更
  4. 就業規則による労働契約の内容の変更
  5. 就業規則の変更に係る手続き
  6. 就業規則違反の労働契約
  7. 出向
  8. 懲戒
  9. 解雇
  10. 有期労働契約 等
なお、労働契約法に対する批判で最も多いのが就業規則の変更に関する規定です。
労働契約法第9条及び第10条は以下のように規定されています。


(就業規則による労働契約の内容の変更)

第九条 使用者は、労働者と合意することなく、就業規則を変更することにより、労働者の不利益に労働契約の内容である労働条件を変更することはできない。ただし、次条の場合は、この限りでない。

第十条  使用者が就業規則の変更により労働条件を変更する場合において、変更後の就業規則を労働者に周知させ、かつ、就業規則の変更が、労働者の受ける不利益の程度、労働条件の変更の必要性、変更後の就業規則の内容の相当性、労働組合等との交渉の状況その他の就業規則の変更に係る事情に照らして合理的なものであるときは、労働契約の内容である労働条件は、当該変更後の就業規則に定めるところによるものとする。ただし、労働契約において、労働者及び使用者が就業規則の変更によっては変更されない労働条件として合意していた部分については、第十二条に該当する場合を除き、この限りでない。


要するに、労働者との合意がなければ就業規則を変更しても労働者に不利な内容に労働条件を変更することはできないのが原則だが、 合理的であれば、労働者の同意がなくても就業規則を変更することで労働条件を(労働者にとって不利な内容にでも)変更できると規定されているのです。
 
ただ、「合理的」かどうかの判断基準は法律上明らかになっていないため、合理的かどうかという争いとなった場合には、結局個別事案ごとに判断するしかなくこの点の争いは今後も続くのではないでしょうか。
 
 
 

【以下はちょっと得する!経営情報第5号で取り上げた事例ですが、
今回テーマを取り上げていますので再掲いたします。】


多数の労働者を抱える事業所においては、各労働者間の労働条件の公平と、労働条件の統一による一元的な労務管理を行うため就業規則を定めている。
労働基準法では、常時10名以上の労働者を使用する使用者に就業規則の作成義務が課されているが、10名未満の場合でも就業規則に準じるものを作成する方が望ましいといえる。 就業規則の法的な性質については、学者の間でも論争があるものの、合理性のある就業規則は労働契約の内容になると考えられている。

つまり、労働者を採用した場合には、採用時点での就業規則の内容が使用者とこの労働者との労働契約の内容となるということである。

就業規則は、使用者が一方的に作成し、変更できることになっているが(ただし、意見聴取をする必要はある。)、就業規則を使用者が変更することで、労働者との労働契約の内容を変更できるか、ということが今回のテーマである。

採用された時点の就業規則に、仮に1日7時間労働と規定されていたとすると、この7時間労働を内容とする労働契約が締結されたことになる。
この1日7時間労働という労働条件を、例えば1日8時間労働に使用者が変更しようとする場合には、使用者は各労働者の承諾(同意)を得て初めて、当該労働者の労働条件を変更できるというのが民法の原則である。


【最高裁判決】

新たな就業規則の作成又は変更によって、既得の権利を奪い、労働者に不利益な労働条件を一方的に課することは許されない。(S43.12.25 秋北バス事件)

そうすると、承諾しなかった労働者の労働条件は以前のままであり、承諾した労働者の労働条件と異なることになる。(承諾した労働者は1日8時間労働、承諾しなければ1日7時間労働)

この場合、同じ事業所内に、異なる労働条件の労働者が混在することになり、一元的な労務管理が困難になると同時に、労働者間の不公平が発生してしまうことになる。

このため、仮に労働者の承諾がなかったとしても就業規則の変更に合理性があれば、その変更は有効であるとされている。
(もっとも、個別に同意を得る努力をし、労働者が納得の上で同意を得られるなら、この方がベターであることはいうまでもない。)


【最高裁判決】

労働条件の集合的処理、特にその統一的かつ画一的な決定を建前とする就業規則の性質からいって、当該規則条項が合理的なものである限り、個々の労働者において、これに同意しないことを理由として、その適用を拒否することは許されない。(S43.12.25 秋北バス事件)

そうすると、変更に合理性があるかどうか、という点がポイントになってくる。
これについては、変更の必要性、不利益の程度、変更後の就業規則の内容自体の相当性、代償措置その他関連する労働条件の改善状況、労働組合等との交渉経緯、他の労働組合又は他の従業員の対応、同種事件に関するわが国社会における一般的状況等を総合考慮して判断されることになっている。


:「労働条件変更の判断基準」井上克樹/新日本法規」
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労働力人口の将来推計値が公表される
〜厚生労働省雇用政策研究会報告書(案)より


【労働力人口とは】
15歳以上の人口のうち、就業者と完全失業者の合計をいう。
すなわち、仕事をしているか、失業中だが職探しをしている人の合計です。もちろん、学業が本分の学生は含まれません。

労働力人口が減少すると、経済成長の鈍化や年金・医療等の社会保障制度の後退も余儀なくされる。


平成19年11月28日、女性や高齢者らへの雇用対策が進まなかった場合、2017年には労働力人口が440万人減、2030年には1,070万人減少するという推計が厚生労働省から発表されました。



 詳細は厚生労働省HP 厚生労働省雇用政策研究会報告書(案)より
 http://www.mhlw.go.jp/shingi/2007/11/s1128-15.html

2006年 6,657万人  
2017年 6,217万人 約 440万人減
2030年 5,584万人 約1,070万人減

この推計の前提となっているのは、国立社会保障・人口問題研究所が5年に1回出している将来推計人口。
しかし、予想を上回る少子化の進行によって、人口減少が以前の推計よりも深刻化していることを反映して、 前回推計(2005年発表)よりも減少幅が大幅に拡大しており、労働力不足が深刻になるものと考えられています。
 
ちなみに、前回推計値は以下のとおり。

2015年 6,237万人  
2030年 5,597万人 今回より13万人多かった

なお、女性や若年者、高齢者への就業支援の拡充により、就業者(職についている人)や求職者(現在は職。についていないが仕事を探している人)が増加した場合の推計は以下のとおり


2006年 6,657万人  
2017年 6,556万人 約 100万人減に抑制できる
2030年 6,180万人 約 480万人減に抑制できる

すなわち、これらの対策を講じることにより2017年、2030年でそれぞれ、340万人、600万人の労働力人口を確保できると推計していることになります。


企業単位でみると、従来と同じ採用スタイルを継続している限り、必要とする数(もちろん質も)の労働者を採用することはできなくなるでしょう。
また、国の施策も、高齢者、女性、若者(特にフリーターと呼ばれる人たち)の雇用者増に結びつく対策がとられるものと予測されます。すなわち、高齢者、女性、若者を積極的に雇用する企業に対する経済的な支援策(補助金、助成金等)もとられるものと予測されます。

これを機会に、人事政策を見直し、男性正社員を中心とした雇用ポートフォリオから、高齢者、女性も含めた制度を策定していくことが必要ではないでしょうか 。

下図は同研究会発表資料より抜粋
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2007/11/dl/s1128-15b.pdf

労働人口の見通し


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編集後記


今年ももう師走!
今年になってから始めたこの事務所報も、何とか第12号までたどり着くことができた。
取り上げるテーマはどんなものがいいだろうか、といつも悩みつつ、なんとか毎号見つけてきた。
テーマは細かすぎてもいけないし、時流をはずれるものもいけない、等いろいろ考えながらやってきたが、
一生懸命やれば何とか見つかるもので、1年間続けられたことには手前味噌ながら満足している。

しかし、興味をもって読んでいただいているのか、どうなのか、一方的に送っているだけなのでこのあたりのリサーチが不十分だった気がする。
来年は平成20年!
より一層いいものにしていきたいと思う。


ちょっと気が早いですが、読者の皆様もよいお年をお迎えください。


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