藤田社会保険労務士事務所
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平成19年5月号 インデックス

大手家電量販店に対する立入調査・是正指導
〜職業安定法違反・独占禁止法違反
SWOT分析の進め方(2)
よくわかる労働法講座  第5回 「就業規則の不利益変更の拘束力」
もし貴社で労使紛争が起こったら・・・
◆ 判例からみる勝つための要件とは◆ 第5回 「就業規則の不利益変更」
従業員のメンタルヘルスに配慮していますか?  
「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き」
貴社の人材育成、順調ですか?  ◆通信簿のない学校の話
編集後記

大手家電量販店に対する立入調査・是正指導〜職業安定法違反・独占禁止法違反

5月11日の新聞に、大手家電量販店に対し公正取引委員会が独占禁止法違反で立ち入り調査をした旨の記事があった。
この家電量販店に対しては、既に職業安定法違反で労働局による是正指導がなされており、異なる行政機関から指導を
受けたことになる。
指導を受ける原因となった事例を紹介し、近年、問題が指摘されている派遣、請負等についてポイントをご案内いたします。


今回問題となった家電量販店を取り巻く関係図


今回問題となった家電量販店を中心とする関係は以下のようになっていた。
1. 家電量販店X社が、家電製品やパソコンの周辺機器などを納入しているメーカーに、ヘルパーや自社従業員をX社の店舗に派遣するよう要求。
2. メーカー各社は、人材派遣会社と労働者派遣契約を締結し、
3. 派遣会社から労働者の派遣を受けることでヘルパーの大半を確保。
4. 3で確保した派遣労働者の勤務場所はX社の店舗とし、X社の店舗で勤務させる。

これらヘルパーの業務は、あくまでも、自社メーカー製品の販売促進であり、人件費負担、ヘルパーへの指揮命令権もメーカーにある。


独占禁止法「優越的な地位の乱用」違反
 今回、X社が独占禁止法違反の疑いで調査を受けたのは、@X社がヘルパーの出勤日を指定したり、A他社製品のキャンペーンにおいても販売ノルマを課したり、BX社固有の業務であるはずの新規開店時の商品陳列作業にヘルパーを従事させたうえ、求めに応じない場合には求めに応じなかったメーカーの商品を販売しなかったり、他社製品と差別した取り扱いをしたことがあったため

上記の行為が、独占禁止法の禁じる「不公正な取引方法」のうち、取引上の優越的な地位を利用して不当行為をする「優越的地位の乱用」にあたると疑いありとされた。

職業安定法違反による是正指導
 今回の独占禁止法違反の調査に先立って、本年3月、X社には職業安定法違反があったとして、
是正指導がなされている。これは、X社がメーカー側のヘルパーに直接指揮命令をしたことが違反に問われた原因
つまり、メーカーはX社の店舗で独自に自社商品の販売促進活動を行うのであり、X社の指揮命令に応じる必要はない。
にもかかわらず、X社の従業員がメーカーのヘルパーに対して指揮命令をしたことが職業安定法に違反したとされた。


量販店とメーカーの関係では、販売力を持つ量販店の方が優位に立つ傾向が強まっています。
量販店側としては、今回のX社のケースのように、納入業者・メーカーの従業員に店舗内で販売促進活動をさせる場合には、
1.指揮命令とみなされる行為はせず、納入業者・メーカーの裁量に任せる。
2. 自社固有の業務には関与させない
などの配慮をする必要があります。









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SWOT分析の進め方(2)

 今回はSWOT分析で明らかになった強み・弱み・機会・脅威を活用して、どのような戦略を立てていくか、
についてご案内いたします。

前回は、以下のようなマトリックス表を用意して、強み・弱み・機会・脅威を分析していきました。

【マトリックス表A】

プラス要因 マイナス要因
内部環境 1.強み(Strength)
(例)営業力に優れている
2.弱み(Weakness)
(例)商品開発力が弱い
外部環境 3.機会(Opportunity)
(例)宅地造成により人口が 増加した
4.脅威(Threat)
(例)近くに大規模小売店が 出店してきた

しかし、上のマトリックス表(マトリックス表A)では、強み・弱み・機会・脅威を理解することができるものの、
これらを生かしてどのような戦略を立てるかがはっきりしません。
そこで、次のようなマトリックス表(マトリックス表B)を用意します。

【マトリックス表B 】
機 会 脅 威
3.自社にとって、チャンスになる外的要因 4.自社にとって、事業継続を脅かす外的要因

1.他社と比較した場合の相対的な強み 積極的戦略
自社の強みと事業機会を活かした戦略
差別化戦略
自社の強みで脅威を克服する戦略

2.他社と比較した場合の相対的な弱み 段階的戦略
自社の弱みを段階的に克服し、市場の事業機会を活かしていく戦略。
専守防衛または撤退
弱みと脅威で最悪の事態を招かない戦略


マトリックス表Aとマトリックス表Bの1〜4は同じものです。
この段階では、強み・弱み・機会・脅威の欄には記入があるが、マトリックス表Bの右から2段、下から2行の計4つのセルは、空白のままです。

ここに、それぞれの特徴を活かした具体的な戦略を記していくことになります。

例えば、強みと機会が交差するセルは、市場にチャンスがある上、自社に強みがあることから積極的に事業展開をしていくべきです。この方策を具体的に検討して記入していくのです。
その他の組み合わせは、マトリックス表Bにあるとおりです。

さて、次回は具体な事例を基に戦略を検討する方法をご案内したいと思います。


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よくわかる労働法講座  第5回 「就業規則の不利益変更の拘束力」

多数の労働者を抱える事業所においては、各労働者間の労働条件の公平と、労働条件の統一による一元的な労務管理を行うため、就業規則を定めている。

労働基準法では、常時10名以上の労働者を使用する使用者に就業規則の作成義務が課されているが、10名未満の場合でも就業規則に準じるものを作成する方が望ましいといえる。 就業規則の法的な性質については、学者の間でも論争があるものの、合理性のある就業規則は労働契約の内容になると考えられている。

つまり、労働者を採用した場合には、採用時点での就業規則の内容が使用者とこの労働者との労働契約の内容となるということである。 就業規則は、使用者が一方的に作成し、変更できることになっているが(ただし、意見聴取をする必要はある。)、就業規則を使用者が変更することで、労働者との労働契約の内容を変更できるか、ということが今回のテーマである。

採用された時点の就業規則に、仮に1日7時間労働と規定されていたとすると、この7時間労働を内容とする労働契約が締結されたことになる。 この1日7時間労働という労働条件を、例えば1日8時間労働に使用者が変更しようとする場合には、使用者は各労働者の承諾(同意)を得て初めて、当該労働者の労働条件を変更できるというのが民法の原則である。

【最高裁判決】

新たな就業規則の作成又は変更によって、既得の権利を奪い、労働者に不利益な労働条件を一方的に課することは許されない。(S43.12.25 秋北バス事件)


そうすると、承諾しなかった労働者の労働条件は以前のままであり、承諾した労働者の労働条件と異なることになる。(承諾した労働者は1日8時間労働、承諾しなければ1日7時間労働)

この場合、同じ事業所内に、異なる労働条件の労働者が混在することになり、一元的な労務管理が困難になると同時に、労働者間の不公平が発生してしまうことになる。

このため、仮に労働者の承諾がなかったとしても就業規則の変更に合理性があれば、その変更は有効であるとされている。(もっとも、個別に同意を得る努力をし、労働者が納得の上で同意を得られるなら、この方がベターであることはいうまでもない。)

【最高裁判決】

労働条件の集合的処理、特にその統一的かつ画一的な決定を建前とする就業規則の性質からいって、当該規則条項が合理的なものである限り、個々の労働者において、これに同意しないことを理由として、その適用を拒否することは許されない。(S43.12.25 秋北バス事件)

そうすると、変更に合理性があるかどうか、という点がポイントになってくる。
これについては、変更の必要性、不利益の程度、変更後の就業規則の内容自体の相当性、代償措置その他関連する労働条件の改善状況、労働組合等との交渉経緯、他の労働組合又は他の従業員の対応、同種事件に関するわが国社会における一般的状況等を総合考慮して判断されることになっている。

:「労働条件変更の判断基準」井上克樹/新日本法規」



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もし貴社で労使紛争が起こったら・・・
◆ 判例からみる勝つための要件とは◆ 第5回 「就業規則の不利益変更」

就業規則を不利益に変更した場合に、その変更に同意しなかった労働者に対して、就業規則の変更の効力が及ぶかが争われた事件をご紹介いたします。


秋北バス事件(最大判昭43.12.25)

【事件の概要】
会社Yは、就業規則を変更し、これまでの定年制度を改正して、Xら主任以上の職にある者の定年を55歳に定めた(一般従業員については50歳)。

このため、それまで定年制の適用のなかったXら(既に55歳に達していた)は定年制の対象となり、解雇通知を受けた。
Xらは、当該規定に同意を与えた事実はなく、満55歳の定年を定めた規定はXらに対し効力が及ばないとして、解雇の無効を主張した。

旧就業規則・・・「従業員は、満50歳を以て停年とする。停年に達したるものは事例を以て解職する。但し、停年に達したるものでも業務上の必要がある場合、会社または本人の人格、健康及び能力等を勘案し詮衡の上臨時又は嘱託として新たに採用することがある。」
新就業規則・・・「従業員は満50歳を以て停年とする。主任以上の職にあるものは満55歳を以て停年とする。」

【最高裁の判断】
労働条件を定型的に定めた就業規則は、一種の社会的規範としての性質を有するだけでなく、それが合理的な労働条件を定めているものである限り、経営主体と労働者との間の労働条件はその就業規則によるという事実たる慣習が成立しているものとして、その法的規範性が認められるに至っているものということができる。
当該事業場の労働者は、就業規則の存在及び内容を現実に知っていると否とにかかわらず、また、これに対して個別に同意を与えたかどうかを問わず、当然にその適用を受ける。→労働者に周知できるようにしておくことが必要。
具体的には、事業場に備え付ける等の方法により、労働者が見ようと思えばいつでも見えるようになっていることが必要。
新たな就業規則の作成または変更によって、既得の権利を奪い、労働者に不利益な労働条件を一方的に課すことは、原則として許されないと解すべきであるが、・・当該規則条項が合理的なものである限り、個々の労働者において、これに同意しないことを理由として、その適用を拒否することは許されない。
主任以上の職にある従業員に対して55歳定年制を新設することについて、定年制の企業運営上の意義、定年制の当時の実情、一般職との比較、嘱託再雇用の可能性等から不合理とはいえない。

「秋北バス事件(シュウホクバスジケン) 」

・・・就業規則の不利益変更の有効性に関するリーディングケースとなった判例です。

「定年と停年 」

少なくとも近年は、一般的に「定年」が使われますが、当時、当該企業は「停年」を使用していました。
辞書によるとどうちらも同意です。



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従業員のメンタルヘルスに配慮していますか?  
「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き」

今月は、前回までの「労働者の心の健康の保持増進のための指針」の概要をご案内に引き続き、心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の際に有益な「手引き」をご案内いたします。

(当手引きは、厚生労働省より平成16年10月14日に発表されたものであり、以下のURLよりPDF形式で入手可能である。 http://www.mhlw.go.jp/houdou/2004/10/h1014-1.html

【心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引きの概要】
1. 心の健康問題により休業し、医学的に業務に復帰するのに問題がない程度に回復した労働者を対象として、実際の職場復帰に当たり、事業者が行う職場復帰支援の内容を総合的に示したもの。
2. 事業場においては、本手引きを参考にしながら個々の事業場の実態に即した形で、事業場の職場復帰支援プログラムを策定し、組織的かつ計画的に取り組むことが必要。また、職場復帰支援に関する体制や規程の整備、これらについての労働者への周知を行うことが必要。
3. 事業場職場復帰支援プログラムの実施においては、労働者のプライバシーに十分配慮しながら、事業場内産業保健スタッフ等を中心に、労働者、管理監督者が互いに十分な連携をとるとともに、主治医との連携を図りつつ取り組むことが重要。
4. 職場復帰支援の流れは、病気休業開始から職場復帰後のフォローアップまで5つのステップとなっている。(次回ご案内します)

「事業場職場復帰支援プログラム」

個々の事業場における職場復帰支援の手順、内容及び関係者の役割等について、事業場の実態に即した形であらかじめ当該事業場において定めたもの。

「職場復帰支援プラン」

職場復帰をする労働者について、労働者ごとに具体的な職場復帰日、管理監督者の業務上の配慮及び人事労務管理上の対応等の支援の内容を、当該労働者の状況を踏まえて定めたもの。


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貴社の人材育成、順調ですか?   
◆通信簿のない学校の話

ある雑誌に通信簿のない学校の話が掲載されていた。
通信簿というと、学校の先生が生徒を「5」とか「3」という数値で、 その生徒の学力を段階付けするもの、というイメージを持つ人も多いと思う。

しかも、評価の決定権は先生のみにあり、こちらはどうすることもできない。
いわば、一方的におまえの学力はこうだぞ、といわれているようなものともいえよう。
しかし、親も子も、この表面上の数字で、成績が「上がった」「下がった」と一喜一憂しており、 成績が上がったからご褒美を、などということになる家庭も多い。

企業の従業員評価もこれとよく似ていて、その従業員の評価を数字で表し、処遇に反映させている。
評価が高いと、給与、賞与もアップする。また、昇進・昇格につながり企業内での立場もよくなっていく。
従業員評価に、従業員による自己評価と考課者によるフィードバックというシステムを採用している企業も多いが、
最終的には企業側に決定権があり、通信簿のように結果を通知し、これによって従業員の処遇が決まる。
通信簿のない学校の話に戻ると、この学校は通信簿がない代わりに親子の共同作業があるそうだ。

学期末に、「よくなった点」を20項目挙げる作業をしてもらうそうだ。
この「よくなった点」も、たとえば、「縄跳びを5回飛べるようになった」のように具体的に書かなければならず、
20項目というのはかなり大変な作業だと思う。
親からすれば、普段から子供に関心を持って観察していなければならないし、 子供と十分話し合う時間をとらなければならない。

この話を聞いて感じたのは、企業もこの仕組みを採用すればいいのに、ということ。
上司と部下という関係にあると、どうしても、上司が部下を評価するということになるのは やむを得ないものの、ほとんどの企業では、上司が部下を一方的に評価するシステムになっているのではないだろうか?

部下とのコミュニケーションが不十分なまま、「あなたの評価はこうですよ。」といわれても、 それを素直に受け入れる部下がどのくらいいるだろう?

部下の「いいところを探す」「よくなった点を探す」という作業を上司の義務としたらどうだろうか。
部下に関心を持たないと、この作業はできない。
また、部下にも自分のよくなった点を挙げさせ、これを基にして、上司と部下が面談をする場を設けるのもいいのではないか。

この話は、私にいろいろなアイデアを与えてくれた。
おそらく、読者の中にも共感してくれる方がいらっしゃるのでないか。
忙しいかもしれないが、上司である以上、部下と接するのが大事な仕事ではないだろうか?


人は城、人は石垣、人は堀 情けは味方、仇は敵なり (甲陽軍艦)


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編集後記

ゴールデンウイークも終わり、第166国会も審議が再開されました。しかし、国民投票法案の審議などが優先された結果、労働関連法案の今国会での成立は微妙な情勢のようです。
毎年この時期は、新法制定、法律改正があり、国会の動向をウォッチすることになります。
専門家としては、関連する法案の制定、改正の動向をいち早くつかんでおく必要があることからなかなか大変です。
しかし、国会議員の先生方も大変ですね。1月25日に国会が開会してから、6月23日までの150日間で100本を超える数の法案を審議するのですから・・・
頭が下がります。

さて、先日、Jリーグの川崎フロンターレが、アジアチャンピオンズリーグの1次リーグを日本のチームとして初めて突破し、決勝トーナメント進出を決めた。ナショナルチームはアジアで勝っているのに、Jリーグのチームはなかなか勝てない状況が続いていたので溜飲をさげる思いです。
この勢いで、結晶トーナメントでも活躍してもらいたいと思います。
しかし、愛媛FCは昨年の活躍がうそのように勝てないですね。



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