藤田社会保険労務士事務所
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平成19年4月号 インデックス

改正男女雇用機会均等法 施行 H19/4/1から
SWOT分析の進め方(1)
よくわかる労働法講座  第4回 「年棒制」
もし貴社で労使紛争が起こったら・・・
◆ 判例からみる勝つための要件とは◆ 第4回 「年俸制の割増賃金」
従業員のメンタルヘルスに配慮していますか?  
「労働者の心の健康の保持増進のための指針」 A
貴社の人材育成、順調ですか?  ◆新入社員研修のカリキュラム B
編集後記

改正男女雇用機会均等法 施行 H19/4/1から

昨年(平成18年)6月15日に成立していた、改正男女雇用機会均等法が4月1日から施行されます。
以下に改正のポイントをご案内いたします。

【改正のポイント】
1.男性に対する差別も禁止された
女性に対する差別の禁止を定める法律から、男女双方に対する差別の禁止を定める法律となった。

・ 一定の職種(総合職、一般職等)や一定の雇用形態(正社員・パート等)について、募集・採用の対象を男女いずれかのみとすることは、他の性を募集・採用の対象から排除していることになるため認められない。



2.性別を理由とする差別の範囲を拡大→禁止される差別が追加された
募集・採用、配置・昇進・教育訓練、福利厚生、定年・解雇に加え、「降格」「職種変更」「パートへの変更などの雇用形態の変更」「退職勧奨」「雇止め」についても、性別を理由とした差別は禁止された。

<男女で異なる取扱いをしていると認められる例>
・営業部門において、男性労働者には外勤業務に従事させるが、女性労働者については当該業務から排除し内勤業務のみに従事させること
・男性労働者には一定金額まで自己の責任で買い付けできる権限を与えるが、女性労働者には当該金額よりも低い金額までの権限しか与えないこと
・営業成績が悪い者について降格の対象とする旨の方針を定めている場合に、男性労働者については営業成績が最低の者のみを降格の対象とするが、女性労働者については営業成績が平均以下の者を降格の対象とすること


3.間接差別の禁止
外見上は性に無関係な条件(募集・採用にあたり、一定の身長、体重または体力を要件とすることなど)を課しているが、実態として、一方の性が満たしにくい要件を課すことを禁止。ただし、合理的な理由がある場合は間接差別にあたらない。

<合理的な理由がないと認められる例>
・荷物を運搬する業務を内容とする職務について、当該業務を行うために必要な筋力よりも強い筋力があることを募集・採用の要件とすること
・広域にわたり展開する支店、支社等がなく、かつ、支店、支社等を広域にわたり展開する計画等もない場合において、転居を伴う転勤に応じることができることを募集・採用の要件とすること


4.妊娠・出産等を理由とする不利益取扱いの禁止
妊娠・出産・産前産後の休業を取得したことを理由とする解雇に加え、以下のような理由による解雇その他の不利益取り扱いをすることが禁止された。
・均等法の母性健康管理措置を求めた、又は受けたこと
・労働基準法の母性保護措置を求めた、又は受けたこと
・妊娠または出産による能率低下又は労働不能が生じたこと

<不利益取扱いにあたるとされる例>
・賃金について、妊娠・出産等に係る不就労期間分を超えて不支給とすること
・賞与又は退職金の支給額の算定に当たり、不就労期間や労働能率の低下を顧慮の対象とする場合において、同じ期間休業した疾病等や同程度労働能率が低下した疾病等と比較して、妊娠・出産等による休業や労働能率の低下について不利に取り扱うこと
・妊娠・出産等に伴いその従事する職務において業務を遂行することが困難であり配置を変更する必要がある場合において、他に当該労働者を従事させることができる適当な職務があるにもかかわらず、特別な理由もなく当該職務と比較して、賃金その他の労働条件、通勤事情等が劣ることとなる配置の変更を行うこと


妊娠中・産後1年以内の解雇は、「妊娠・出産・産前産後休業等による解雇でないこと」を 事業主が証明しない限り無効となる。





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SWOT分析の進め方(1)

前回を受けて、今月からSWOT分析の進め方についてご案内いたします。

SWOT分析とは、強み(Strength)、弱み(Weakness)、機会(Opportunity)、脅威(Threat)の組み合わせにより、自社の現状を分析する手法です。
このうち、SとWは自社の内部環境のことであり、Sは自社にとってのプラス要因、Wは逆にマイナス要因となります。
これに対し、OとTは自社の外部環境になりますが、こちらも内部環境と同様にプラス要因、マイナス要因があり、Oが前者、Tが後者です。
内部環境とは、「その組織内で改善することができるもの」であり、外部環境とは、「その企業・組織だけで変えることが不可能なもの」と考えてください。

具体的にいうと、
内部環境 ・・・ 人材、財務、技術力、IT環境、情報、拠点、立地など
外部環境 ・・・ 人口構造、政治・経済状況、技術革新、規制緩和、顧客の志向、競合他社の動向など
の視点から自社の置かれている状況を分析することになりますが、ある人は、自社の強みだと考えることが、他の人から見ると弱みと捉えられることがあります。

同様に、ある人は自社にとっての機会と考えることを、他の人は脅威と捉えることがあるのです。

(例:未開の地に靴を売ろうとした2人のセールスマンの話)
一人は「誰も靴を履いていないので販売先がたくさんある。チャンスだ」と考えたが、別の一人は「誰も靴を履く習慣がないのだから売れないだろう。ノーチャンスだ。」と考えた。

この例のように、人(企業)によって同じ事象でも全く違ったものとして捉えてしまうこともあり、最終的に、これをプラスと捉えるか、マイナスと捉えるかは経営判断ということになります。

これを表にまとめると以下のようになります。(例)のような形で要因を挙げていきます。



プラス要因 マイナス要因
内部環境 強み(Strength)
(例)営業力に優れている
弱み(Weakness)
(例)商品開発力が弱い
外部環境 機会(Opportunity)
(例)宅地造成により人口が 増加した
脅威(Threat)
(例)近くに大規模小売店が 出店してきた



次回は、SWOT分析で明らかになった強み・弱み・機会・脅威を活用して、どのような戦略を立てていくか、についてです。


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よくわかる労働法講座  第4回 「年俸制」

最近、年俸制を導入したい、という相談がありました。
相談者は、年俸制について誤った認識をしていましたが、この方と同じく誤って年俸制を捉えている方は多くいます。
そこで、今回は年俸制を取り上げます。

年俸制とは、「賃金の全部または相当部分を労働者の業績等に関する目標の達成度を評価して年単位に設定する制度」(菅野和夫「年俸制」日本労働研究雑誌408号74頁)であり、1年間にわたる仕事の成果によって翌年度の賃金額を設定しようとする制度である。
したがって、本来、労働時間の量(割増賃金)を問題とする必要のない管理監督者や裁量労働者に適した賃金制度である。

つまり、管理監督者や裁量労働者に該当しているから割増賃金が不要なのであり、年俸制を採用しているから割増賃金が不要なのではない、のであるが、「年俸制=時間外労働、休日労働の割増賃金の支払不要」と考え、一般社員でも年俸制を適用することで割増賃金が不要になる、と誤解するケースが多いのである。
年俸制という賃金の決定方法と、割増賃金不要とは別の問題であるのに、これを理解せずに、一般社員に年俸制を適用した場合には、当然、割増賃金の問題が生じる。

また、年俸制を採用していても、毎月1回以上・定期払いの原則に従って賃金は毎月支払う必要がある。

年俸制の契約を締結している場合、年俸総額や月額支給額の合意が成立している以上、就業規則の変更によっても、契約期間途中での賃金額の変更は認められないし、 契約期間途中における年俸額の引き下げの合意についても、賃金債権の放棄と同様に、労働者の自由な意思に基づいてなされたものと認められる合理的理由の存在がなければ認められない。
その他、就業規則に年俸制適用者には時間外労働手当を支給しない、と定めても、この定めを無効とする判例も存在する。
また、年俸300万とし、月額25万を支給していた事例で、この25万の中に、時間外労働割増賃金、諸手当、賞与を含むとしていたが、具体的な内訳を明らかにしていなかった場合に、割増賃金部分が法定の額を下回っているかどうかが具体的に計算できないような方法による賃金の支払方法は無効であるとされた。

これから考えるに、どうしても一般社員に年俸制を適用する場合には、年俸額中、手当相当分がいくらか、割増賃金分がいくらか、その割増賃金は何時間の時間外労働・休日労働に対するものなのか、等を明確にしておく必要があるといえる。
ただし、ここで設定した時間外労働時間数・休日労働時間数を超過する場合には、超過時間に応じた割増賃金が必要であるのはいうまでもない。



参考文献:「口語労働法(全訂版)」松岡三郎・松岡二郎/自由国民社

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もし貴社で労使紛争が起こったら・・・
◆ 判例からみる勝つための要件とは◆ 第4回 「年俸制の割増賃金」

年俸制適用の労働者に対し、労働基準法第37条の「割増賃金」の規定が適用されるかが争われた事件をご紹介いたします。

システムワークス事件(大阪地判平14.10.25)

【年俸制における賞与について】
年俸制を採用し、毎月年俸額の15分の1(月額18万円)を支給、7月と12月に15分の1.5(月額27万円)を賞与として支給していた。
会社は、この賞与分は割増賃金の基礎となる賃金には算入されないと主張したが、支給時期および支給額があらかじめ確定しているので、賞与に準ずる性格はなく、「臨時に支払われた賃金」または「1ヵ月を超える期間ごとに支払われる賃金」( 労基法施行規則21条)には該当しないとして、割増賃金の算定基礎となる賃金に算入されると判断した。


【月額に割増賃金が含まれているとの点について】
会社は、月額3万円は割増賃金であると主張したが、以下の理由から裁判所は否認。

  • 労働者との合意があったとは認められない。
  • 賃金月額のうち通常の労働時間の賃金にあたる部分と時間外の割増賃金にあたる部分とを明確に区別することができない

【年俸制労働者に時間外手当を支給しないと定めた規定の効力】

年俸制の採用に際して、時間外労働手当を含めて月額賃金を決定し、就業規則上「時間外労働手当は支給しない」と定めていた場合でも、労基法37条の趣旨から、時間外労働を命じている以上、使用者は割増賃金を支払わなければならないとした。


(「口語労働法(全訂版)」松岡三郎・松岡二郎/自由国民社)

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従業員のメンタルヘルスに配慮していますか?  
「労働者の心の健康の保持増進のための指針」 A


今月は、前回に引き続き「労働者の心の健康の保持増進のための指針」の概要をご案内いたします。
(当指針は、メンタルヘルスケアの実施方法を定めており、各事業場でメンタルヘルスケアを実施する際の参考となるものです。)



【4つのメンタルヘルスケアの推進】(指針5より)
  1. 労働者による「セルフケア」、管理監督者による「ラインによるケア」、産業医、衛生管理者等による「事業場内産業スタッフ等によるケア」、事業場外の機関、専門家による「事業場外資源によるケア」の4つを、「4つのケア」と呼んでいる。
  2. これらの4つのケアが継続的かつ計画的に実施されることが必要。

【メンタルヘルスケアの具体的な進め方】(指針6より)
  1. メンタルヘルスケアを推進するための教育研修・情報提供
    労働者、管理監督者、事業場内産業保健スタッフ等に対し、それぞれの職務に応じた教育研修・情報提供を実施すること。なお、事業場内に教育研修担当者を計画的に育成することも有効。

  2. 職場環境等の把握と改善
    労働者の心の健康には、作業環境・作業方法・労働時間・仕事の質と量・職場内のハラスメントを含む人間関係・職場の組織・人事労務管理体制等のさまざまな要因が影響を与えることから、職場環境等を評価して問題点を把握するとともに、その改善を図ること。

  3. メンタルヘルス不調への気づきと対応
    メンタルヘルスケアにおいては、ストレス要因の除去又は軽減などの予防策が重要だが、万一、メンタルヘルス不調に陥る労働者が発生した場合に、その早期発見と適切な対応を図ることが必要。そのために、 @労働者による自発的な相談とセルフチェック、A管理監督者、事業場内産業保健スタッフ等による相談対応、B労働者の家族による気づきや支援等に関する体制を整備することが重要。

  4. 職場復帰における支援
    メンタルヘルス不調により休業した労働者が円滑に職場復帰し、就業を継続できるようにするため、衛生委員会等において調査審議し、職場復帰支援プログラムを策定するとともに、その実施に関する体制整備やプログラムの組織的かつ継続的な実施により、労働者に対する支援を実施すること。

メンタルヘルスケアとは
「事業場において事業者が講ずるように努めるべき労働者の心の健康の保持増進のための措置」のこと

4つのケアとは・・・
○セルフケア
○ラインによるケア
○事業場内産業保健スタッフ等によるケア
○事業場外資源によるケア


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貴社の人材育成、順調ですか?   
◆新入社員研修のカリキュラム B

ハローワークの担当者のお話では、今年は、資格取得の手続きの方が、資格喪失の手続きよりも多いとのこと。つまり、「入社する人数>退職する人数」のようだ。
特に、若年者の雇用を増やす企業が増えており、それに伴って、若年者の教育に注力する企業が増えていると実感している。

まず、数のことであるが、愛媛県職業能力開発協会主催の新入社員研修も、昨年までは、1回のみの開催であったのが、今年は、受講希望が多かったため、追加研修を実施しており、採用数が増加しているのは確実である。

次に、教育に対する企業のスタンスであるが、昨年までは、自社の新入社員だけを研修に行かせ、戻ってきてから研修内容、本人たちの学んだこと、役に立ったこと等を日報、ヒアリング等で報告させるというスタイルだったのが、今年は若干変わってきたと感じた。
相当数の企業担当者が、わざわざ研修を見学にみえたという点で企業の新入社員研修に向けた期待の大きさが伝わってきた。
ある大手の会社は、取締役の肩書きがある方を含め、1日目、2日目と計4名がおみえになっていた。
これらの方のお話では、

@ 現在、教育制度そのものを見直している
A 自社だけではノウハウ等に限界があるため参考にしたい

ということをおっしゃっていた。

また、新入社員研修を1社単独でお引き受けした会社の担当者の方は、「職場の人間関係」とか「職場のコミュニケーション」のような、職場内でのコミュニケーションに関するテーマと、「ビジネスマナー」のような、基本的なマナーに特に関心がある、 とおっしゃった。
つまり、近年、職場内のコミュニケーションが不十分ではないか、と言われて久しいが、現場でもこれを実感していると いうことだろう。
さらに、ビジネスマンである以前の、社会人としての常識が身についていないと思われる社員が増えていると感じているということだろう。

不景気の時代は、社員教育に関する費用は、削減対象になっていた。
しかし、景気回復とともに、人材育成に対する必要性を再認識したということか。
これからは、人に投資をした企業と、そうでない企業で優劣、勝ち負け、がはっきりするのではないだろうか?
ちなみに、先ほどの企業からは、新入社員研修だけでなく、中堅社員の研修もできるか、と打診があった・・・


人は城、人は石垣、人は堀 情けは味方、仇は敵なり (甲陽軍艦)


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編集後記

4月上旬は新入社員研修が集中したこともあり、「ちょっと得する!経営情報」の完成が通常よりも大幅に遅れてしまいました。
定期的に発行していくことの大変さを改めて痛感した次第です。
妻からは、内容的に若干欲張りすぎている、と言われますが、このことばを発奮材料にしてずっと継続していくつもりです。

さて、本日(4/17)現在、「雇用保険法等の一部を改正する法律(案)」は未だ成立しておりません。
3月20日に衆議院で可決したものの、4月11日に参議院で修正の議決がなされた結果、再度、衆議院に回付され、改めて衆議院で審議されることになっています。このため、同法の成立は最短でも4月19日(木)の予定とのことです。
今、このページをお読みいただいている時点では、成立しているのではないかとは思いますが、いかがでしょうか?

今回の改正では、雇用保険の保険料率の引き下げが審議されていましたが、未だ決定がないということで給与計算等に影響が出ているようです。
(従来の保険料率に基づく保険料を給与から控除するか、それとも、改正後の予定保険料率に基づく保険料を控除するか)

また、通常であれば、既に届けられているはずの労働保険の年度更新手続きに関する書類が未だ送付できずにいます。
本日、松山労働基準監督管内を除く愛媛県下の各労働基準監督署管内で予定されていた「年度更新受付会」(4月実施分のみ)の中止が決定され、松山も4月19日を待って実施するか否かを決定するとのことです。
国会の影響力というのは、やはり、大きいですね。




パートタイム労働法の改正案も未成立です。
気になる法律の改正動向を来月もお届けしていきます。

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