藤田社会保険労務士事務所
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平成19年1月号 インデックス

健康保険法等の改正
離婚時の年金分割がスタート(平成19年4月)
よくわかる労働法講座 第1回 「労働時間とは・・・」
もし貴社で労使紛争が起こったら・・・
◆ 判例からみる勝つための要件とは ◆ 第1回 「解雇権の濫用(らんよう)」
従業員のメンタルヘルスに配慮していますか?
貴社の人材育成、順調ですか?
編集後記

健康保険法等の改正


平成18年6月14日、健康保険法等の一部を改正する法律が、参議院本会議で可決、成立した。医療保険制度の将来にわたる持続的かつ安定的な運営を確保するため、医療費適正化の総合的な推進、新たな高齢者医療制度の創設、保険者の再編・統合等の措置を講ずることが改正の趣旨。

今回の改正では、政管健保の公法人化、保険給付の内容等の見直し、70歳〜74歳の高齢者の窓口負担を2割にする等の改正があり、平成18年10月より順次施行されている。


【 改正の概要 】

T.医療費適正化の総合的な推進
(1)医療費適正計画の策定
   ・生活習慣病対策、長期入院の是正のため国、都道府県が計画
(2)保険者に対する一定の予防検診等の義務付け(H20/4)
   ・医療保険者に対し、40歳以上の被保険者等を対象とする糖尿病等の予防に着目した検診及び保健指導の実施を義務付け(H20/4)
(3)保険給付の内容・範囲の見直し等
   ・現役並み所得がある高齢者の患者負担を2割から3割に引上げ(H18/10)
   ・療養病床入院する高齢者の食費・居住費の負担を見直し(H18/10)
・傷病手当金・出産手当金等の支給率等を見直し(H19/4)
      @ 支給対象から任意継続被保険者を除く
      A 標準報酬日額の3分の2相当額とする
      B 資格喪失後6月以内に出産した者に支給していた出産手当金を廃止
   ・70歳から74歳までの高齢者の患者負担を1割から2割に引上げ(H20/4)
   ・乳幼児に対する患者負担軽減(2割負担)の対象を3歳未満から義務教育就学前までに拡大(H20/4)
(4)介護療養型医療施設の廃止(H24/4)

U.新たな高齢者医療制度の創設
(1)後期高齢者(75歳以上)医療制度の創設(H20/4)
(2)前期高齢者(65歳から74歳)の医療費に係る財政調整制度の創設(H20/4)

V.保険者の再編・統合
(1)国保の財政基盤強化(H18/4,H18/10)
(2)政管健保の公法人化(H20/10)
(3)地域型健保組合(H18/10)

●高齢者の患者負担の見直し
高齢者の患者負担の見直しにより、平成18年10月より高齢者の負担は以下のようになっている。
・70歳未満 3割
・70歳以上 1割 (現役並み所得者は3割)

【現役並み所得者の判定基準】
まず、標準報酬月額で判定し28万円未満は1割負担、同28万以上の場合は3割負担が原則 ただし、本人が申請した場合には収入額による再判定を行う。
・高齢者複数世帯 520万未満
・高齢者単身世帯 383万未満
上記に該当すると1割負担

ちなみに、20年4月からは以下のようになることが決定している。
・70歳未満 3割
・70〜74歳 2割
・75歳以上 1割

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離婚時の年金分割がスタート(平成19年4月)


近年、中高齢者等の離婚件数が増加しているが、現役時代の男女の雇用格差・給与格差により、離婚後の夫婦双方の年金受給額には大きな差(*)が生じている。 このため、平成19年4月1日以後に離婚等をした場合に、離婚等をした当事者間の合意や裁判手続きにより按分割合を定めたときに、その当事者の一方からの請求によって、婚姻期間等の保険料納付記録を当事者間で分割できることになった。 具体的には以下のとおり・・・


【基本的な仕組み】

  ● 19年4月1日以後に離婚等をした場合でないと分割できない
  ● 婚姻期間中の厚生年金の保険料納付記録(夫婦の合計)を分割できる  
    *19年4月1日前の婚姻期間にかかる保険料納付記録も分割できる
  ●婚姻期間中の厚生年金の保険料納付記録(夫婦の合計)の最大2分の1まで分割できる
  ●当事者間で合意がまとまらない場合には、一方の求めにより、裁判手続きによって按分割合を決めることができる。
●合意に関する公正証書等を添付の上、社会保険事務所に分割請求をしなければならない

年金分割イメージ図

【分割の効果】

●分割を受けた当事者は、自身の受給資格要件に応じて、増えた保険料納付記録に応じた厚生年金を受給できる。
●分割を受けても、自身が老齢に達するまでは老齢厚生年金は支給されない。
●分割を行った元配偶者(通常、元夫)が死亡しても、自身の年金受給には影響しない。
●原則として、分割された保険料納付記録は厚生年金の額計算の基礎となるだけで、受給資格要件には算入しない。(自身の納付記録だけで原則25年以上の納付期間が必要)
参考:社会保険庁ホームページ

(*)厚生年金の年金額は、被保険者本人の過去の就労期間や賃金額をもとに計算されます。

ポイントは 19年4月1日以降の離婚から対象になるということです。 (3月31日以前の離婚は対象外)

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よくわかる労働法講座 第1回 「労働時間とは・・・」


労働基準法第32条には以下のような定めがある。

【労働基準法 第32条】
使用者は、労働者に、休憩時間を除き1週間について40時間を超えて、労働させてはならない。
A 使用者は、1週間の各日については、労働者に、休憩時間を除き1日について8時間を超えて、労働させてはならない。

労働基準法が規制する「労働時間」とは、休憩時間を除いた、現に労働させる時間(実労働時間)のことである。この「(実)労働時間」と「休憩時間」とを合わせた時間を「拘束時間」という。
労働基準法は、拘束時間については特に規制していない。(自動車運送業は除く) つまり、拘束時間がどんなに長くても(実)労働時間が法定労働時間以下である限り、時間外労働という問題は発生しない。
この場合のポイントは(実)労働時間という点であり、就業規則で定める労働時間(「所定労働時間」という)ではないということである。
「所定労働時間=就業規則に定める始業時刻から終業時刻までの時間−休憩時間」であるが、例えば「始業時刻9時、終業時刻19時間、休憩時間2時間」と定めた就業規則があったときには時間外労働の判断はどうなるだろうか?
自社の就業規則で定めたのだから、19時までは時間外労働とはならないのか?
休憩時間を規定どおり2時間与えているなら。1日8時間労働であるからその日だけで判断すれば時間外労働にはならない。しかし、休憩を1時間しか与えてないなら1日9時間労働になるので1時間の時間外労働をしたことになる。
適正な休憩時間を与えたかどうかがポイントとなる。

ところで、(実)労働時間には、現実に作業に従事している時間のみならず、作業と作業との間の待機時間である「手待時間」も含まれる。
手待時間と休憩時間は、前者が使用者の指示があれば直ちに作業に従事しなければならない時間としてその作業上の指揮監督下に置かれているのに対し、後者は使用者の作業上の指揮監督から離脱し(労働から解放され)、労働者が自由に利用できる時間である点で異なる。

なお、始業前・終業後の準備や更衣時間が労働時間にあたるかが争われた事案について、裁判所は以下のように判示している。
「労基法上の労働時間とは、労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間をいう。・・・(省略)・・・労働者が、就業を命じられた業務の準備行為等を事業所内において行うことを使用者から義務付けられ、又は余儀なくされたときは、当該行為を所定労働時間外において行うものとされている場合であっても、当該行為は、特段の事情のない限り、使用者の指揮命令下に置かれたものと評価することができ、当該行為に要した時間は、それが社会通念上必要と認められるものである限り、労働基準法上の労働時間に該当する。」(三菱重工業事件 最一小判平12.3.9)
参考文献:「労働法(第七判補正版)」 菅野和夫/弘文堂

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もし貴社で労使紛争が起こったら・・・ ◆ 判例からみる勝つための要件とは ◆
第1回 「解雇権の濫用(らんよう)」


解雇は、労働組合がない会社であれば主として次の3つに大別できる。
   @労働者の労務提供の不能や労働能力または適格性の欠如・喪失
   A労働者の規律違反
   B経営上の必要性(整理解雇)

労働基準法は、産前産後・業務上災害による休業の場合に解雇を制限しているにすぎず、法律的には解雇を禁止する事例は限定されている。(その他、国籍等を理由とする解雇禁止、男女雇用機会均等法、育児介護休業法による解雇禁止規定等が存在する。)

しかし、解雇は、労働者に多大な影響を与えるものであるため、使用者による解雇を無制限に認めるべきではなく、一定限度の制限を加える必要があるとされている。 すなわち、使用者の解雇権の行使が「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当として是認することができない場合」には、権利の濫用としてその解雇は無効となる。 この場合、問題となるのは、「解雇の相当性」があるかないか、ということであるが、この判断は、解雇事由によって個別具体的に検討する必要がある。 相当性の判断においては、 @解雇事由が重大な程度に達しており、 A他に解雇回避の手段がなく、B労働者の側に考慮すべき特段の事情がほとんどない場合にのみ相当性あり、とされている。

結論として、解雇辞令を発令しようとするにあたっては、この判断基準に照らして「相当性あり」と認められるような状況になければ、解雇権の濫用=解雇無効とされる可能性が高いといえる。

なお、整理解雇については、労働者側に解雇される原因がなく、使用者側に一方的事情による解雇であることから、解雇有効となる要件は裁判の積み重ねで以下のような要件がほぼ確定している。(整理解雇の4要件)
   @ 人員削減の必要性があるか
   A 解雇回避努力をつくしているか
   B 解雇される従業員の人選が妥当か
   C 整理解雇手続きが相当か

@については、従来、経営困難や経営不振という事実がなければならない、とされてきた(危機回避型)が、近年は、人員削減が必要とする経営者の経営判断を尊重し、経営困難に陥る前に経営合理化や競争力強化のためする人員削減をも人員削減の必要性あり、と認める裁判例も多くなっている。(予防型)

Aについては、解雇は最後の手段であり、それ以前に解雇を避けるために何らかの手段を講じているか、ということ。具体的には、新規採用の停止、役員報酬カット、昇給・賞与の停止、時間外労働の削減、配転・出向、一時帰休、希望退職の募集等を解雇に先立って行ったかが問われる。

Bについては、いわゆる正社員を解雇する前にパート労働者の雇い止めを行う、過去の勤務成績の不良の者を解雇対象者とする等合理的な基準で人選をしているかである。

Cについては、労働者に誠意を持って協議、説明を行っているかということである。

【ポイント】 「就業規則記載の解雇事由」

就業規則の解雇事由を列挙する際には、必ず最後に 「その他、前各号に準ずる程度の解雇事由が存在する場合」という包括規定を定めましょう。

就業規則の解雇事由を「限定列挙」とする考え方があり、この考え方だと就業規則で定められた解雇事由に該当しない場合には解雇ができない、と判断される可能性が高くなるからです。

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従業員のメンタルヘルスに配慮していますか?


(財)社会経済生産性本部が2006年4月に実施した「メンタルヘルスへの取り組み」に関するアンケート調査結果が発表されています。 この調査は、企業のメンタルヘルスに関する取り組みの実態を分析・解明するために、全国の上場企業2,150社を対象に実施されました。(有効回答数 218社、回答率10.1%) 詳細は(財)社会経済生産性本部のホームページをご覧ください。

http://www.js-mental.org/images/03/20060728.pdf

【概要】
最近3年間の心の病の増減傾向について、6割以上(61.5%)の企業が増加傾向と回答している。
過去2回は、48.9%(2002年)、58.2%(2004年)であり増加傾向にある企業の割合が毎回高まっている。
一方、「横ばい」「減少傾向」の割合はほぼ横ばい。
心の病が最も多い年齢層は、30代(61.0%)とする企業が圧倒的に多い。
心の病のために1ヶ月以上休業している従業員のいる企業は74,8%。
メンタルヘルスに関しては、定期健康診断に次いで、多くの企業が力を入れて取り組んでおり、過去2回に比べて明確に上昇傾向が認められる。(2002年33.3%、2004年46.3%、2006年59.2%)

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貴社の人材育成、順調ですか?


人材育成の3原則
「あいつは言われなければ何もやらないんだ」と部下の態度にため息をつく上司がいます。しかし、多くの場合、そうさせているのは上司の方なのです。人間は基本的には自分で決めたことにしかヤル気を持って取り組まないものなのです。言われなければやらないのは、いつも上司が命令だけして、自分の考えで行動できるように指導していないからなのです。これを解決するポイントは、「答えは部下の中にある」と「部下の味方になる」と「部下の自発的な行動を促す」を実践することで、これが人材育成3原則といわれています。

答えは部下の中にある
上司が答えを出すのではなく、部下が自分で答えを見つけられるようにしてあげることです。 上司の中には自分と異なった考えを出すと、すぐに反論し、自分の考えを押し付けようとする人がいます。それは、「経験未熟な部下が考えるより、自分の考えの方が優れている」という自信とプライドがあるからです。それを続けていると、部下は「自分で考えてもしょうがない」と思い、上司の言うことを聞くだけになってしまいます。 従って、部下を育てるには、部下の意見をなるべく尊重する必要があります。もし、部下が明らかに間違った考え方をしているなら、「●●君が言うようにした場合、お客様は何と考えるかな?」などといった質問によって、部下が自分で考える方へ修正するように仕向けてみてはいかがでしょうか?

部下の味方になる
部下を信頼して任せてみることです。たとえば、「あの案件は処理したのか」とか「何をやっているんだ」などと、常に部下に文句を言ったり、叱ったりしている上司がいます。これでは部下は萎縮し、実力を発揮できません。しかし、案件によっては、「何があっても責任は私がとるからがんばってみなさい」と部下に伝えれば、部下は上司の信頼に応えようと、あるいは信頼してくれた上司に迷惑をかけないようにと、自分の力を振り絞って取り組むに違いありません。

部下の自発的な行動を促す
「答えは部下の中にある」と「部下の味方になる」を実践すれば、「自発的な行動を促す」は自然とできてきます。
出典:オンリーワン通信(竹田富男氏発行)より

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編集後記


事務所を一番町に移転してから、約4ヶ月が経過し落ち着いてきました。
前々から発行したいと考えていたまま、なかなか実現できなかった事務所報をやっと発行できるようになりました。
今後は毎月1回定期的にみなさまのお役に立つ情報をお届けしたいと思います。

お届けする情報は以下のように考えております。
   @ 法改正情報、行政の動向等のタイムリーなテーマ
   A 労働基準法等の規定のうち重要と思われるテーマについての解説
   B 万一、労働者とトラブルになったときに困ることがないよう、トラブルとなりやすいテーマについて過去の裁判例等をご紹介
   C 今、注目が高まっている従業員のメンタルヘルス対策について
   D 人材育成、能力開発等に関し参考となる情報
   E その他読者の皆さまからご要望があったテーマ  等

創刊したばかりで不十分な点も、多々あるかと思いますが、みなさまの声を参考によりよい事務所報にしていきたいと思いますのでよろしくお願いします。

なお、新聞、テレビ等でも「ホワイトカラーエグゼンプション」に関する話題がとりあげられるようになっています。簡単にいうと、労働者本人の裁量で労働時間を決定するしくみですが、この制度の導入をめぐっては経営者団体、労働者団体双方からいろいろな意見が噴出しているようです。
政府は、今年の通常国会にこの制度を含む法案を提出したい意向のようですがどうなるのでしょうか?
私は数年前から注目していますが、なかなか結論がでてきませんでした。
しかし、平成18年12月27日に労働政策審議会より「今後の労働契約法制の在り方について」及び「今後の労働時間法制の在り方について」の答申が行われています。
みなさまの事業にも大変大きな影響をあたえることと思いますので、動きがありしだいご案内したいと思っています。

【薦田社会保険労務士事務所の最近の動き】
事務員さんが手伝ってくれるようになりました
単純な事務処理だけでなく、社会保険の新規適用、労働保険の一括手続き、船員保険法に関する事務手続き等、やや複雑な処理も経験してもらうことができ、スキルアップしてくれていると思います。

県下の中学校を訪問し講演を行っています
愛媛県の事業の一つに、若年者のフリーター防止対策事業があり、この事業は愛ワークが受託しています。 当事務所は愛ワークとともに、県下の中学校に出向いて講演を行い、フリーターになるといかに不利なことが多いか、を啓発する活動を行っています。 もちろん、「フリーターにならないため」という後ろ向きの発想だけでなく、「夢を持とう」という前向きな内容に置換えて啓発活動をしておりますが・・・

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